先生の全部、俺で埋めてあげる。



「ん?」


先生は振り返ってまた俺に近づいてくる。




「あ。えっと」


無意識に呼び止めてしまった。


必死に呼び止めた理由を探す。




「これ、先生のですか?」


彼氏を見たあの日からずっと先生に返しそびれていたペンを鞄から出した。


「あー、なくしちゃったと思ってたの」


「ずっと前、ここで拾ってた事忘れてました」


「里巳くんが拾っててくれてたんだね、ありがとう」


そう言って先生は俺が渡したペンに触った。


でも俺はペンを握る手を緩めることができなくて。


先生は不思議そうな顔をした。



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