先生の全部、俺で埋めてあげる。



先生のことを考えているとあっという間に駅について。


電車が来るのを待つ。


この時間になると、学生の姿はほとんどなくて。


スーツを着たサラリーマンやOLとか、大人が多かった。




ふと、俺の目の前をスーツを着た男の人が通りかかったと思ったら。


「あれ、莉子の生徒だよね?」


そいつは足を止めて俺に話しかけてきた。




聞き覚えのある声。


顔を見なくても分かる。




「先生の彼氏」




なんでこんなところで会うかな。


先生の彼氏の顔なんて、もう一秒だって見たくねーのに。



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