先生の全部、俺で埋めてあげる。
「莉子は、もう自分は恋愛しちゃいけないって思ってるんだ」
俺の心の問いに答えるかのようにお兄さんは話しを続けた。
「莉子の心の扉、こじ開けてよ。
それができるのは里巳くんだけだよ」
お兄さんの話は完結すぎて、内容が全然伝わってこない。
先生の扉を開けれるのは俺だけ?
「あの、もっと分かるように説明してくれませんか?」
「俺が言えるのはここまで。あとは莉子に聞いてよ」
ここまで言っといて、なんだよそれ。
「聞いてもきっと教えてくれないよ」
だって、今までそうだったから。
いつも俺が助けられてばっかりで。
俺は先生のこと、何も知らない。
「あれ、弱気じゃん?さっきまでの勢いどうしたの?」
だって。
先生を好きな気持ちは誰にも負けない自信があるけど、先生が俺のどう思っているかなんて俺には到底分からないから。