先生の全部、俺で埋めてあげる。
ベッドの上で相変わらずぼーっと天井を眺めていると、インターフォンが鳴った。
その後すぐにカギをまわす音が聞こえる。
親が帰ってきた?
何故かそう思って、すぐ違うことに気づく。
そっか。
今日は家政婦の今井さんが来る日だった。
重い体を起こして、玄関に向かった。
「あら、夕惺さん。いらしてたんですね」
今井さんには、俺がいない間に掃除やご飯の準備をして欲しいとお願いしてある。
だから、こうやって顔を合わすのはすごく久しぶりだった。
「また時間改めましょうか?」
俺に気を使ってくれたんだろう。
「いいよ、もうすぐ出るから。入って」
お邪魔します、と言って今井さんは靴を脱いだ。
俺は軽くシャワーを浴びて、スマホと財布をポケットに入れ、すぐに家を出た。