先生の全部、俺で埋めてあげる。
外に出て初めてスマホの画面を見る。
友達のグループラインが大量に溜まっていた。
既読にした瞬間、電話が鳴って。
「お前未読無視すんなよなー、今どこ?」
柾木からだった。
「家の近く」
「夏祭り、お前も行くよな?」
「うん」
本当は乗り気ではなかったけど、気を紛らわすには丁度いいと思った。
今すぐにでも、頭にこびりついている先生の彼氏の残像を抹消したい。
柾木たちと合流すると、知らない女子も数人いた。
「あいつら誰?」
「女子高の子たち。たまにはいいじゃん?」
柾木はたまにって言うけど結構頻繁に知らない女を連れてくる。
その中に1人だけ、先生に雰囲気が似てる子がいて。
目に止まった。
目が合うとその子は、最初に会った頃の先生のように口角を上げて笑った。