芦名くんの隠しごと



*



なんで今日に限って忘れ物をしたのかはわからない。


ただ、録画し忘れたバラエティ番組が見られなくなったことは確実で、頼みの綱の母に連絡しようにも、お母さんは出かけるって言っていた。


「はぁ…」


本当に、なんで今日に限って。


いつもはテレビなんかあんまり見ないのに。


いつもは滅多に忘れ物なんかしないくせに。


筆記用具や教科書ならまだよかったかもしれないけど、よりによって忘れたものは、明日提出することになっている課題プリント。


もう職員室しか電気がついていない校舎の中、おばけが出ないかヒヤヒヤしながらも、薄暗い空間を抜け、教室までやって来た。


どうやらここに、おばけはいないらしい。


見回りの先生に見つかるのも面倒に思ってしまったものぐさな私は、電気もつけないまま、この暗さに目が慣れるまでジッとしていた。


目が慣れてきたら、自分の机まで向かって、中を探る。


いつもプリントを入れているクリアファイルごと忘れてしまっていたらしい。


すぐさまそれを持って教室を出ようとすると、ヒソヒソ声が聞こえた。


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