芦名くんの隠しごと



「……わ、わたしのこと好きじゃないくせに………カンタンにキ、キスなんかしないで……」


違う。こんなことが言いたいんじゃない。
むしろ、キスは……嬉しいのに。


なんで、こんなこと言っちゃうの。


……面倒、なんて思われたらどうしよう。


「……野乃」


声が心なしか低い。


やっぱり呆れられたのかな。“このくらいで大げさな”って。





「───なんでそーやって、決めつけるの」


少し涙目になってきた瞬間、クイッと俯いた顎を上げられて。


「………俺がカンタンに野乃に触ってるなんて、思わないでよ」


< 203 / 279 >

この作品をシェア

pagetop