海賊と宝石の歌姫
「とても怖かったですね。みなさん、お話が上手でした」

カヤが微笑み、セダは「……ああ」と頷く。今日は一人では眠れそうにない。しかし、カヤは「おやすみなさいませ」と言い部屋に戻ろうとする。慌ててセダはカヤの腕を掴んだ。

「カヤ、俺と一緒に風呂に入れ」



海賊アレスの船にあるお風呂は、数多くの船員たちのために大浴場となっている。しかし、カヤやライリーの女性が使うお風呂や、船長であるセダ専用のお風呂もあるのだ。

「カヤ、離れるな。もっとそばに来い」

「で、ですが……」

船長専用の浴槽に二人は入っている。迷うカヤをセダが強引に風呂場へ連れて行き、こうなったのだ。

お互い体にタオルを巻き入ったものの、カヤはセダから少し離れている。セダはカヤの腕を掴み、引き寄せた。

「あっ!」

カヤが逃げないようにしっかり体に腕を回す。直接触る体の感触は心地よく、セダはギュッと強く抱きしめた。

「カヤと風呂に入れたから、ゴドフリーたちを殴るのはやめておこう」

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