海賊と宝石の歌姫
人が多く行き交う商店街から、人通りの少ない道をセダは歩くことにした。この辺りに来れば女性から付きまとわれることはない。

石畳みの道に、コツコツとセダの歩く音が響く。黒猫がセダの目の前を通って行った。

「裏通りは静かだな……。落ち着く……」

セダは歩きながら呟く。その時、セダの視界にあるものが目に映った。

ボロボロの服を見にまとった少女が倒れていた。その体は傷だらけで衰弱している。

「おい！大丈夫か！？」

セダは少女に駆け寄り、声をかける。その髪や肌の色を見て、セダは言葉を失った。その少女の髪はセダと同じ真っ黒な髪だ。まつげも黒い。まるで、ブラックオニキスのようだ。

明らかにスペスの人間ではない。セダは少女を抱き上げる。少女はとても軽い。

「……何で東洋の人間がこの国に……」

セダは意識のない少女を見つめながら走り続ける。少女の首に付けられたネックレスが煌めいた。
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