海賊と宝石の歌姫
セダはとても顔立ちをしている。そのため、街を歩けばきれいな服を着た女性が話しかけてくる。これはいつものことだ。

「お兄さん、もしかしてアレスの船長じゃない?」

豊かな胸を揺らしながら、セダの腕をピンクのドレスを着た女性が取る。

「だったら何なんだ?」

冷たく言うセダに、白い服の女性が言った。

「予想通りイケメン〜!!」

セダはうっとおしいと思いながら、女性たちを見つめた。女性たちの胸や腕には、ルビーやサファイアなどの宝石が揺れている。お金持ちのお嬢様なのだろう。

セダは一応海賊だ。金貨の山や、いろいろな宝石を見てきた。しかし、いつも宝を見つけては故郷の国に送るか、その場に残すかをしている。自分の手元に残しておきたい、という思いはあまりないのだ。

「うっとおしい。どこかへ行け」

セダが睨み付けると女性たちは残念そうに去って行った。イケメンなら何でもいい、と言いたげな女性たちだ。アイザックやゴドフリーを探しに行ったのだろう。セダはそう思いながら道を歩く。
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