海賊と宝石の歌姫



カヤは体を震わせ、目をきつく閉じる。それでも聞こえてくる下品な笑い声に、カヤは涙を必死で堪えた。

ライリーと化粧品を買い、服やアクセサリーを見て楽しい買い物をカヤはしていた。おしゃれなカフェでパンケーキを二人で食べ、カフェから出たところを襲われたのだ。

ライリーは数人の海賊フェニキスの船員に襲われ、地面に倒れた。

「久しぶりだな。海賊アレスに保護されたのか。スペスまで行かなくてもよくなったからラッキーだ」

そう言い、カヤの腕を掴んだのはカヤの村を襲い、カヤをスペスに売り飛ばした海賊フェニキスの船長、グレン・バーンウェルだった。

「わ、私をまたどこかへ売るのですか?」

震える声でカヤは訊ねる。グレンは首を横に振った。

「お前は俺と一緒に来い。安心しろ、ハナダに連れて行ってやる。そこで「宝石の都」を探して、俺があの村を支配する。お前はもう俺のものだ」

そう言いながら、グレンはカヤを自分の船へと連れ去ったのだ。
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