海賊と宝石の歌姫
「そうだよね〜……。あたしもカヤと離れたくない。せっかく仲良くなれた女の子なのに……」

ライリーがクラッカーを口に放り込む。しかし、アイザックがワインを一口飲んで言った。

「カヤは俺たちが保護しただけであって、船員じゃない。カヤを家族も心配しているだろうし、俺たちの感情にカヤを縛り付けてはいけないだろう」

「でも……!」

アイザックの言葉にライリーが反論し、セダは船長室の窓から暗闇に包まれる海を見つめる。この傷を大好きな海を見て少しでも癒したかった。

「きちんと故郷に帰るのがカヤのためだ」

「でも、カヤがもしあたしたちと一緒にいたいって言ったらどうするの?」

「この世界はカヤには危険すぎる。東洋人は狙われやすい。今回は助けることができたが、ほかの海賊に攫われた東洋人がどんな目に遭ったか……」

「あたしたちが守ればいいだろ!!あたしはあの子と離れたくない!!」

冷静な口調で話すアイザックに、ライリーは感情的になって今にも掴みかかりそうな勢いだ。ゴドフリーは出来上がって机に突っ伏し眠っている。
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