海賊と宝石の歌姫

海を眺め続けるセダの耳に、アイザックとライリーが言い争う声が聞こえてくる。心がさらにざわつき、セダは立ち上がって船長室を出て行く。

セダは風に当たるために甲板へと向かった。今日は星が綺麗に見える。

「……カヤ？」

セダが甲板に行くと、カヤが夜空を眺めていた。夜風に黒い髪とスカートが揺れる。

「セダさん。なかなか寝付けなかったので星を見に来ました」

そう微笑むカヤに、セダは自分が着ているコートを脱いでカヤに羽織らせる。

「夜風は体を冷やすぞ。着ておけ」

セダの着ているコートはカヤにはとても大きい。袖がブカブカでセダは可愛いと思った。

「ありがとうございます。とても温かいです」

カヤはそう言い微笑む。セダはカヤの隣に立ち、一緒に空を見上げた。

「あそこに見えるのがおとめ座。あっちがしし座だな」

セダが星を指差しカヤに教えると、「星座に詳しいんですか？」とカヤはセダを見つめる。セダは頰を赤く染め、頷いた。