BLACK REFLECTION -月の警告-





「ほんっと、紗菜は頼りになるね」

「やめてよ、そんなんじゃないから」

「またまたー。紗菜は本当にすごいよ」




……うるさい。うるさいうるさいうるさいうるさい。私に他に何を求めてるの?

もし仮に本気で言ってるとしても、私はそんな称賛されるような人間じゃない。




「……ほんとに違うから」




出てきた声は、自分で想像してたよりも随分と冷たかった。

違う、もっと辺り障りなく、笑いながら言うつもりだったのに。




「……ごめんね」

「……うん、」




あの子が今にも泣き出しそうな顔で俯く。

私は「ううん」と否定してあげることができなかった。




「ごめん、わたし、今日は帰るね」

「……うん、」




嫌いなわけじゃないの、

たぶんちょっときらいだけど、嫌いってわけじゃない。



矛盾だらけだし、なに言ってるかわかんないって思われるだろうし、私も思うけど、私は彼女がきらいで嫌いじゃない。



だけど、妙に冷たく当たってしまうこと、大嫌いな言葉が彼女の声で再生されるともっと嫌いになること、そのことだけは、どうやっても消えなくて。




< 21 / 40 >

この作品をシェア

pagetop