緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「嬉しかったです、一緒にアメリカに行こうって言ってくれて。
でもごめんなさい。お別れを言いに来ました。
ちゃんと、終わりにしようと思って」

「終りに、か」

「はい。

茅ヶ崎さんのこと大好きでした。
今でも、本当は好きなんだと思います。

だけど、茅ヶ崎さんが近くにいても、もっと見てたい人がいるんです。
だから、ついて行くことはできません」

言った。
全てが自分勝手で、今にも罪悪感に押しつぶされそうな言葉を並べ立てた。

「そっか。

…タイミングって、難しいな。
少しは期待してたんだけど、駄目だったか。
言いに来てくれてありがとう。

お幸せに。これは本心だよ。

それじゃ、行ってくる」

「いってらっしゃい」

スーツケースを引くその背中もかっこいい。
思う存分に見惚れて、目に焼き付ける。
楓馬君が私の中に居なければ、間違いなく茅ヶ崎さんについて行っていた。その手を取らないなんてこと、できなかったはず。
ただ今は、茅ヶ崎さんよりも、傍にいたい人がいる。

…その相手からは、距離をとられているという絶望的な状況だけど。

< 243 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop