緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「じゃ、行ってらっしゃい」
勝手なことばっかりして。なんで呑気に手を振っていられるんだろう。
そして、今、気づかなくていいことに気づいてしまった。
駅から出てくるOLさん、駅に向かっていく女子高生。
そして、私と同じ方向へ向かうたくさんの大学生。
そんな数え切れない女性が楓馬君に顔を向けている。
かっこいい、なんて声が聞こえてくるのは、きっと彼に向けられたもの。
…すごい。
手を振っただけで、こんなに注目浴びるものなの?
楓馬君って、いつもこんな視線の中を生きてるの?
「行ってきます!!」
もう訳がわからなくなって、とにかくさっきまでのイライラを込めて、力強く言ってやった。
今からはもう彼のことなんて考えない。
一切過らせもしない。
大学生活に専念するんだ。
ドキドキしたことなんか、単なる勘違いなんだから。