緊急逮捕-独占欲からの逃亡ー
「ほら。噂をすれば、次の出会いがこっち見てる」
「え?」
ななみんの視線をなぞると、1人の男性がグラスを持ってこっちに向かっていた。
クリッとした大きな目に、クリーム色の柔らかそうな髪。見た目は女子よりも女子。
だけど正真正銘の男の子。
ゼミの後輩、植田淳。
かわいい。
かわいすぎるでしょ。
恋愛としての出会いとしてカウントしたらいけない気がする。
彼の恋愛対象はどこが範囲なのかわからないもん。
それに、そもそも恋愛感情というものが彼の中にあるのかも見えてこない。
色んな意味で、謎多き男。
「あれ、ななみんさんどっか行くんですかー?」
「2人の方が話しやすいんでしょ、どうせ」
「えへへ、そうですねー。僕、莉子さんのこと大好きなんで」
語尾をのばす彼特有の話し方。おっとりしてて、淳ちゃんを見てると、とにかく「かわいい」を連呼してしまいそうになる。
まぁ、こんなふうに後輩に構われることもないから、私も必要以上に可愛がってるところがある。
彼を見てると、可愛いは正義だと叫びたくなる。