何の取り柄もない田舎の村娘に、その国の神と呼ばれる男は1秒で恋に落ちる【前編】

その罪は僕が十字架を背負う理由だから

「あかん!電発塔の方か!?」

あまりの大きな音に、思わずりんもその音の方向へと視線を移した。
その光が落ちた場所は、電発塔の方に違いない。
りんは迷わずその方向に走り出した。



「京司!!おっさん!!」

りんがその場に到着した時には、二人は地面に倒れていた。
りんは思わず叫び、そんな二人に近寄る。

「う…。」

地面に倒れこんでいる京司に覆いかぶさるように、辰もまた、地面にうつ伏せになっていた。
そんな辰は、どうやら意識があるようで、小さく声を漏らした。しかし、彼のマントからは、嫌な焦げた臭いがたちこめている。

「大丈夫か!」
「俺は大丈夫だ…。それより。」
「京司!」

辰は何とか上体を起こして、りんと話をする事が出来るようだ。
しかし、京司はりんが話しかけても、雨で濡れた冷たい地面に横たわったままで、意識はない。

「人を、呼んできてくれ…。」
「待ってろや!」

この状況で、りん一人ではどうにもできない。
辰に言われたように、りんは助けを求めに、町の方へと走った。

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