御坂くん、溺愛しないで。

「だけど不思議です。
今は真司に負ける気がしません」

「……御坂くん」

「それも先輩と出会ったおかげです。今までは自分の殻に閉じこもっていたけど、今は変われた気がします」


私は何もしていないというのに。
変わろうと思ったのは、あくまで御坂くん自身である。


「だからこそ真司にもバスケに対する純粋な気持ちを思い出して欲しいんです」

「え…」


「真司も自分を見失ってるような気がしました。だから俺は必ず地区大会で真司と対戦して、もう一度昔のライバル関係に戻りたいんです」


揺るがない瞳はまっすぐ私を見つめる。

ああ、やっぱり御坂くんはすごい。
真司くんとも向き合おうとしているのだから。