薔薇の棘の痛みにキスを、あなたとの日々へ花束を
メロと薔子と許婚
(悠介Side)

俺の家系はおかしい。

そう思ったのは幼稚園の時。
幼いからこそ、強く感じたのだと思う。

「お前は狙われやすいから」

じいちゃんからもらったお守りを肌身離さず持っていた。

それから弟が生まれた。

彼は悪魔の子だった。

当たり前だけど、父さんも母さんも、誰も気づいていない。
俺とじいちゃんだけが知っていた。

「じいちゃん…俺、怖いよ」
「大丈夫。悪さはしない」

じいちゃんの言う通り、弟は何事もなく元気に育っていった。
悪魔という自覚がない限り、力は目覚めないのだという。
つまり、誰も教えなければ、彼は普通の人間として生きていけるということ。

あんなことさえなければ……
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