独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「ちゃんと、俺を見ろ」

 頭がおかしくなりそうだ。

 うっすら汗をにじませ、頬を上気させた峰島先生のこんな表情、きっと事務所の誰も見たことがない。弁護士王子様の色気に満ちた顔にあてられて、のぼせそう。

「俺だけ、見てろ」

 甘い刺激に満たされているはずなのに、なぜ、胸が苦しくなるのだろう。

 揺れ動く不安定な気持ちを体ごと固定するみたいに、峰島先生にぎゅっとしがみついた。

 人の心も感情も、目に見えない無形のものだ。不確かで、心もとなくて、こちらが一方的に想像して推し量ることしかできない。

 だけど、彼の体温はたしかにそこにある。

 今この瞬間だけは、体の内側も外側も、余すところなく愛されている。

 彼の湿ったぬくもりを、強く抱きしめ返した。

 たしかに満ち足りた気持ちで、私はシーツの海にどんどん沈み、彼の体温におぼれていった。



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