独占欲強めな弁護士は甘く絡めとる

「あほ。具合悪いのにヤるわけないだろ。俺をなんだと思ってんだよ」

 私を睨みつけると、ふて腐れたようにシートに沈んだ。

「心配だから送ってくだけだ」

 頬杖をつくようにして、彼は夜の明かりが流れる車窓へと視線を向ける。対向車のライトに浮き沈みする横顔の輪郭があまりにきれいで、私は息を呑んだ。

 タクシーに乗り込んだときから、彼の右手は私の左手を力強く包んでいる。

 手の甲から伝わってくる体温に、胸がつぶれそうだった。 

 そんなふうに優しさを見せないでほしい。

 誰かの代わりにされても、私が彼を好きなことに変わりはないのだ。

 だからきっと、求められたら拒めない。

< 76 / 181 >

この作品をシェア

pagetop