一夜からはじまる恋
夜になると仰向けに眠る樹のお腹に耳をあてながら湊が嬉しそうに赤ちゃんと話をする。そんな時間に樹は心満たされていた。
しばらく赤ちゃんに話しかけていた湊が起き上がると今度は樹の横に横たわった。
「いよいよ明日が最後の日だな」
「うん」
明日は樹が勤務する最終日。
「いろいろあったけど、今の仕事好きだったな」
「そう?うれしいよそう言ってもらえると。」
「私の居場所だった。今はここが私の居場所。」
「うん」
話しながら湊は樹に腕枕する。
樹は自分から湊の方へ近付いた。二人で寄り添いながら話をする。
「子供がうまれて落ち着いたら家買わないか?」
「え?」
「樹の仕事のこととか出産前に負担になるかと思って言ってなかったけどさ、一軒家買わないか?」
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