幕末パラレル物語
NO side


暗闇の中、木の陰に、2人の男が佇んでいた。


「へぇ…本当にやるなんてね…」


その視線の先にあるのは、地に落ちてなお鈍い光を放つ鉄扇。


「でも…やっぱり邪魔なんだよね。……君も、そう思わない?」


一瞬だけ顔を覗かせた月が、浅葱の羽織を照らした。



***



天李は、小鳥の爽やかな朝の声に目を開けた。


体を動かすと、鈍い音を立てて鉄扇が膝から滑り落ちる。

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