君のとなりで恋をします。─上─
「ここでいいよ。」
俺がそう言うと、彼女は少し淋しげな顔をして俯く。
「…香純?」
俺がそんな彼女の顔を覗き込むと、彼女は俺の制服の裾をぎゅっと握った。
「…なんか、離れ難いかも…。」
ほんのり顔を赤らめて、恥ずかしそうに視線を逸らして…
……いやいや、これは反則すぎる…。
狙ってやってるのか?
いや…
香純の場合は、これを素でやってくるから恐ろしい。
「せめて、あの角まで送らせて?
……もう少しだけ一緒にいたい。」
俺はみるみるうちに赤くなる顔を隠すのに必死だった。