君のとなりで恋をします。─上─
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何とかバスにも間に合い、いつもの見慣れた田舎道で下車する。
もう夏で日が長いとはいえ、空はすでに赤く染っていた。
帰り道にある大きな桜の木は、葉が青々と茂っていて……
この桜の木を見ると、ついアイツのことを思い出してしまう。
毎年春になると、アイツはこの桜の木を見に来たがる。
『ほら、桜河の花だよ!
…今年も綺麗に咲いたねー。』
『…何だよ、俺の花って。』
『あんたの誕生花でしょ。
それに、名前にも“桜”って文字が入る。』