君のとなりで恋をします。─上─
「話ならいつでも聞くから。
…絶対に一人で泣くなよ?」
普段の桜河からは考えられないそのセリフに、不覚にも一瞬だけドキっとした。
なんか…桜河、雰囲気変わった?
前より少し柔らかくなったというか…
夏休みに入る直接くらいから、何かが変わった気がする。
何がって言われてもよくわからないけど…
10年以上隣で桜河を見てきた私には分かる。
確実に彼の中で、何かしらの心境の変化があったんだろう。
「…戻るか。」
「そうだね。
…ありがとう。」
「どーいたしまして。」
重い腰を上げて、みんなの元に戻る。
結局その日、柊吾は夕方になるまで戻ってこなかった。