ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます
アパートに帰ってからスマホを充電し、実家に連絡すると母に電話口で大泣きされた。お父さんには怒鳴られて長々とお説教されたけれど、ときおり鼻をすする音が聞こえてきたから私も泣きそうになってしまった。
「店長さんもね、だいぶ心配されていたのよ」
再び電話をかわった母が、涙声で驚きの事実を告げる。
「えっ、店長が?」
「桜井さんには期待をかけすぎて特別厳しくしてしまったから、私のせいかもしれませんって言ってね。恵都が行きそうな場所をいろいろ探してくれたりしたのよ」
「そうだったの……」
倒れていた私に気付いてくれたのも店長だった。もしかして、出勤のたびにショッピングモールの中もくまなく探してくれていたのだろうか。
店長とケイトは似ているからわかりあえる、と言ってくれたアッシュの言葉を思い出す。
「……本当だったよ。アッシュさん」
「え? 今、なにか言った?」
「ううん。なんでもない。心配かけてごめんね、お母さん。近いうちにおばあちゃんのお墓参りにも行くから」
「本当よ。でも、無事で良かった。この一週間生きた心地がしなかったわよ」
親はありがたいなあ。一年間も行方不明になっていなくて良かった、と思いながら電話を切る。
体調が大丈夫なことをショップに電話して伝えたら、「明日から出勤して」と言われたし、休んでしまったぶんを取り戻すためにも、はりきって働かなければ。
「よし、やるぞー!」
異世界で取り戻した、お洋服が大好きだという気持ち。
今の私が店頭に立ったら、お客さまにどんな接客ができるだろうか。
明日からの新しい日々を想像すると、やる気がむくむくとわいてくるのを感じた。
「店長さんもね、だいぶ心配されていたのよ」
再び電話をかわった母が、涙声で驚きの事実を告げる。
「えっ、店長が?」
「桜井さんには期待をかけすぎて特別厳しくしてしまったから、私のせいかもしれませんって言ってね。恵都が行きそうな場所をいろいろ探してくれたりしたのよ」
「そうだったの……」
倒れていた私に気付いてくれたのも店長だった。もしかして、出勤のたびにショッピングモールの中もくまなく探してくれていたのだろうか。
店長とケイトは似ているからわかりあえる、と言ってくれたアッシュの言葉を思い出す。
「……本当だったよ。アッシュさん」
「え? 今、なにか言った?」
「ううん。なんでもない。心配かけてごめんね、お母さん。近いうちにおばあちゃんのお墓参りにも行くから」
「本当よ。でも、無事で良かった。この一週間生きた心地がしなかったわよ」
親はありがたいなあ。一年間も行方不明になっていなくて良かった、と思いながら電話を切る。
体調が大丈夫なことをショップに電話して伝えたら、「明日から出勤して」と言われたし、休んでしまったぶんを取り戻すためにも、はりきって働かなければ。
「よし、やるぞー!」
異世界で取り戻した、お洋服が大好きだという気持ち。
今の私が店頭に立ったら、お客さまにどんな接客ができるだろうか。
明日からの新しい日々を想像すると、やる気がむくむくとわいてくるのを感じた。