ポンコツ女子、異世界でのんびり仕立屋はじめます
 仕事が終わったあと、待っていてくれたアッシュと一緒に家に帰る。

「ここが、私の住んでいるアパートです。狭いでしょう?」

 頭をかがめながら玄関をくぐったアッシュが「おぉ……」と感嘆の声をあげた。

 どうぞ、とクッションをすすめると、小さな丸テーブルの前にちょこんと座った。どうもサイズ感が合っていない気がするけれど、なんだかかわいい。

「これが異世界の住居か。見慣れない道具がたくさんあるな……。これはずいぶんと精巧な絵だな」

 ベッドサイドに飾ってあった写真立てを、アッシュが興味津々で手に取る。

「写真、っていうんですよ。私が小さいころに撮った家族写真です。これが子どものころの私で、これが両親。こっちがおばあちゃんです」

「そうか、これがケイトの家族か。みんなケイトに似ているし、優しそうだ。近いうちに挨拶に行かねばならないな。……ん? これはもしかして、テレビか?」

 薄型テレビを指差して、アッシュが尋ねる。

「よく知ってますね」
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