【番外編 完】愛を知らない彼
思い起こしてみても、疑わしさは感じなかった。
でも、園田さんは同僚で、毎日職場で顔を合わせていただろうし、、

「康介さんを疑いたくないの。でも、彼は私に母性を求めてるだけだって園田さんに言われて……彼の生い立ちを考えると、完全に否定できない気もした。それに、最近、近所に美味しいお惣菜屋さんができたって話してたって。それ、私のことだよね」

「姉ちゃん、その女の言うこと信じちゃだめだ。やっぱりちゃんと彼氏と話さないと。なんなら、俺も同席するから」

「ありがとう」

弟にそう言われたものの、決心ががつかない。
もし園田さんの言うことが真実で、別れを切り出されたらと思うと、怖くてたまらない。

康介さんは、私から返信がないことを変に思っているだろう。
何度も電話やメールをくれた。
でも、やっぱり私は返せないでいた。
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