【番外編 完】愛を知らない彼
「俊介が起きたら、僕も手伝うから大丈夫」

そう言うと、私がさらに何かを言いそうだと察したのか、康介さんは私の唇を塞いだ。


「ちょっ、康介さん!」

「今だけ。俊介がら寝てるうちは、千花を独占させてよ」

そう言って、私の肩に頭をすりすりっと擦り寄せてくる。

康介さんは知っているだろうか……
私がこの〝すりすり〟に弱くて、ついつい許してしまうことを。

「千花、千花……」

そう愛おしそうに囁かれると、私ももっとこうしていたくなる。
抵抗を諦めて、康介さんをぎゅっと抱きしめると、もう一度キスをされた。

なんとなくあまい雰囲気になりかけた時……


「うぇ〜ん」


俊介の大きな泣き声に、我に返った。

「あっ、俊君!」

私が起き上がるより先に、康介さんが立ち上がって俊介を抱き上げた。

「僕がみてるよ」

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