サヨナラのために


誠也からそっと離れて、目を見つめる。


真剣な眼差し。


少しもふざけてなんてない。


今まで一度だって許されなかったことを、あなたが望むなら。


「…いいよ」


誠也の目の前にストンと腰を下ろして、両腕を彼の首に回す。


グッと腰を引き寄せられて、手が、頬に触れる。


そっと目を閉じると、誠也の髪がおでこを撫でた。


初めて触れた、誠也の唇は、優しくて。


本当に少しだけ触れて、離れた。


夢か、現実か、信じられなくて。


何度も、角度を変えながら、短いキスが落とされる。


「…ふ、せいや」


胸の奥が切なくて、思わず名前を呼んだ。


グッと強い力で顎を掴まれて、さっきよりも深いキスが私を襲う。

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