サヨナラのために



先輩と話した後、気づいたらそのまま寝てしまったみたいだ。


「美羽!ごはん!」


体をたたかれて、ぼんやりとしたまま目を開く。


「あんたってば寝てばかりで…ご飯にするから」


「ん…」


部屋を出た母に続いて、起き上がったその時。


目が、奪われる。


窓から見えた、人影。




誠也と、佐々木さんが、並んで。



誠也の家の前で、話している。


佐々木さんの顔は、とても幸せそうで。



「そっか、彼女…」


うまく、いったんだ。


誠也に彼女ができたって聞いたときから、どこかで分かってた。


きっと、佐々木さんとうまくいったんだろうって。


真っ直ぐで、誠也のために、一生懸命で。


振られても、それでも誠也のことが好きで。


その気持ちを隠さず、ぶつけるあの子と。



私に持ってないもの、全部もってるあの子と。



誠也は、付き合ったんだろうって。


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