サヨナラのために
「ただいま」
「あらー、早いのね、今日は」
「んー」
適当に返事をして、私はそのまま二階に上がる。
自分の部屋に入って、ブレザーも着たまま、ベッドに倒れ込んだ。
なんだか、何もしてないのにすごく疲れたな。
看板のせいで出来なかったやりたいことなんて、たくさんあるのに。
今は、どれもやりたいと思えない。
ああ、なんだろう、なんか。
「結構、頑張ったんだけどな」
口からこぼれた声が、予想外に震えていて。
あれ、と思った時には目から涙が溢れていた。
「…え?なん、で」
とめどなく、次から次へと溢れていく涙。
驚きと、唐突に襲ってきた悲しさに、頭が、体が、追いつかない。
嫌だ。泣きたくない。
だって別に、どうだっていいじゃん。
看板だって、やりたくなかったし。
泣いたら、アイツらの思うつぼじゃん。
「ふ…っ…と、まってよ…」
苦しくて、息ができない。
自分がわけわからない。でも、何かが、悲しい。
「せ、いや」