死者の声〜最期のメッセージ〜

前田周は、白鳥うららの元恋人らしい。若手俳優で、最近人気が出ていた人だ。

藍と大河は、前田周の連絡先を知っているという北村一花に連絡を取ってもらい会うことになった。



前田周と話をしたのは、白鳥うららが亡くなったバンガローだった。前田周が指定したのだ。

「すみません、こんな場所へ呼び出して……」

七分袖ニットに黒いスキニーパンツを履いた前田周が頭を下げる。藍と大河も「いえ、大丈夫です」と言い頭を下げた。

バンガローの外で白鳥うららは調理をし、食べ終わってバンガローの中でくつろいでいる最中にアナフィラキシーショックを起こした。藍は考えながらバンガローの中を見る。

「白鳥うららさんとお付き合いされていたんですよね？」

大河が質問すると、前田周は「はい」と頷く。その表情はどこか苦しげだ。

「何度振っても告白をしてくるので、それだけ僕のことが好きなんだと思い、付き合い始めました。……でも一ヶ月ほど前に急に、「あなたのことが嫌いになった。別れて」と言われて……」