密偵をクビになったので元主のため料理人を目指します!
「今日はお前を呼び出そうと意図していたわけではない。あの料理を提案した者に褒美を取らせようとしたのだが、やってきたのがお前だったというわけだ。てっきりルイスの手駒だと思っていたが、どうやら優れた料理人でもあるらしいな」
「お褒めにあずかり光栄ですが、手駒などと、少々身に覚えのない事柄も含まれていることが気がかりです」
「あくまでも認めないつもりか。まあいい。ここでお前をどうにかするつもりはないからな。とはいえ私からの褒美は受け取りたくないか」
「そのようなことは……」
あるに決まってますよ!
しかし陛下は私の言い分を無視して話を続ける。
「褒美を与えると料理長にも話してしまったからな。何か言え」
横暴な!
「お言葉ながら、私は私の仕事をしただけにすぎません。褒められるようなことでは何も。褒美をいただくようなことではありません」
「ほう……。褒美は不要と。そうまで言うお前に興味があるな。お前の欲しいものはなんだ?」
私は何か、答え方を間違えたのでしょうか。謙虚に遠慮したつもりが、どうしてそういう話になったのでしょう。もう、私のことなんて放っておいてくださいよ……。
そもそもご自身ならば叶えられると、うぬぼれていらっしゃるのですか?
そう言ってやりたかった。
私はまるで挑むように陛下と対峙し、こんな態度だから眼差しがどうといって正体を見破られてしまうのでしょうね。
「陛下、私にも望むものはあります。ですがそれは他の誰にも叶えられないことなのです」
私の望みはただ一つ。主様のために在ること。
それはこの手で掴み取るものだ。誰かを頼って叶えられるようなものではない。ましてや貴方には無理です。自惚れないで下さい!
「それは残念だ。では明日の食事も楽しみにしている」
私は褒美を辞退して仕事に戻った。
「お褒めにあずかり光栄ですが、手駒などと、少々身に覚えのない事柄も含まれていることが気がかりです」
「あくまでも認めないつもりか。まあいい。ここでお前をどうにかするつもりはないからな。とはいえ私からの褒美は受け取りたくないか」
「そのようなことは……」
あるに決まってますよ!
しかし陛下は私の言い分を無視して話を続ける。
「褒美を与えると料理長にも話してしまったからな。何か言え」
横暴な!
「お言葉ながら、私は私の仕事をしただけにすぎません。褒められるようなことでは何も。褒美をいただくようなことではありません」
「ほう……。褒美は不要と。そうまで言うお前に興味があるな。お前の欲しいものはなんだ?」
私は何か、答え方を間違えたのでしょうか。謙虚に遠慮したつもりが、どうしてそういう話になったのでしょう。もう、私のことなんて放っておいてくださいよ……。
そもそもご自身ならば叶えられると、うぬぼれていらっしゃるのですか?
そう言ってやりたかった。
私はまるで挑むように陛下と対峙し、こんな態度だから眼差しがどうといって正体を見破られてしまうのでしょうね。
「陛下、私にも望むものはあります。ですがそれは他の誰にも叶えられないことなのです」
私の望みはただ一つ。主様のために在ること。
それはこの手で掴み取るものだ。誰かを頼って叶えられるようなものではない。ましてや貴方には無理です。自惚れないで下さい!
「それは残念だ。では明日の食事も楽しみにしている」
私は褒美を辞退して仕事に戻った。