愛という名の欲望
最後に話すのは、私の親友が最近泣いて泣いて私に告ったものです。一見たわいないけど、実はとても怖いお話だからよーく聞きなさい。
 親友、真理子は真面目なタイプですが実は若い時よくもててましたね、学生時代から。彼女から夫となる人をはじめに紹介されたときは本当に驚きました。だって科学部、試験管、そのものみたいなオタクタイプ。実につまらない男タイプで、いままで真理子を好きになっていた男とはだいぶ違い、なぜなぜここまで基準を落とすの?と本気でおもった。でも真理子、根が真面目だから、やはり真面目すぎる結婚生活を選んだんだなと納得もした。
 その真面目旦那がね。浮気まがいをしてたんだって。いったん定年退職をして、再雇用の5年とその退職後真理子とふたり暮らしになってもまだ浮気まがいをやめられず、真理子が見つけて驚いて潰すまで、拡大して現在進行形でやってたんだってさ。ああ、そう、真理子のお子さんたちは、とっくにしあがってます。いい子たちでーす。お子さんの結婚式にまで、女たちから祝電うたせて、平気な顔で真理子の隣で鎮座し司会者が朗々と読み上げるのをのを聞いていたんだってさ。そしてその祝電ずーと家の中に隠し持っていたらしいよ。なに考えてるんだか、バカすぎる。幼児の純情男が浮気まがいすると手がつけられないね。真理子は真相を知って、絶望して生きていたくなかったってさ。本当にかわいそう。
 まさかまさか真面目一方でもてないおとなしくて優しいご主人が浮気まがいをしていたんですから真理子は卒倒ーしていますよ。今もね。不幸まっしぐらですー。「悪夢がつづいているー」とかいっちゃって。真理子が嘘つき夫からの告白を聞いただけの話ですから、半分位しか本当じゃないかもしれないけど、まあ、さらに聞きかじった話はこうです。
 生来の男好きアバズレの婆ーさんがいた。それも2人だよ。ご主人の会社にね。女たちはチームでくんでいた。ある方法で実は何人かの男をたぶらかしていたらしい。方法とは。、若い方(派遣社員)が美人局みたいな仕掛けをして旦那にちかずいてきた。仮にAとB。二人ともいい婆ーさんだがAはいくらか美人だったそう。
 ま、当然Aが先陣を切るわけだ。標的は常時真理子のご主人みたいなもてない女なれしてないけど、実はむっつりスケベな意思の弱い、まじめ人間さ。すぐヒッカかりそうな馬鹿なヤツよ。こういうのは一旦ひっかかるとまさかとおもうけど年も考えず家庭さえ捨てちゃう大バカ者だからね。始末が悪い。後先考えられなくなり、また途中で止めるなんてもうどこかにいっちゃうんだ。浮気まがい永遠だよ、こわいね。まさに夢中さ。そこがアバズレ婆ーさんはおもしろくて仕方ないのさ。男日照りの老婆ふたり。旦那はその女たちのなぐさみもの。気の弱いまた、女にやさしくされるのが無性にたまらなく好きな旦那も異常だ。すぐひっかかる。
 そういうわけで、真理子の夫勝男さんはAにひっかかった。Aの方のいつも「いい出会い」と称しては、色々な男、大抵は既婚者だね、年齢からいって。そいつらに平気で手をだしていた。やりかたはこうだ。
 ハンカチが功を奏している。ターゲットの男が職場を異動したり退職するときがチャンスだ。「お世話になりました。」とさりげなく個人的にハンカチを上げる。男はそれじゃわるいから、なんかお返しといって住所をお互い自然に交換させる。オンナはプロだからね。決して急がない。用意周到、時間もタップリとかける。途中で男が引っかからず失敗となっても自然消滅させて自分らは恥をかかないよう功名にしくんでいる。
 これに真理子の旦那は100パーセント見事にその気になった。退職異動して再雇用の場所が風光明媚だった。勝男は前職場のメンバー10人に、新メルアドをおくった。それにかえしたのが1人アバズレAだった。
「いい所ですね、いってみたい」。もともと女にすごく弱い。ま、気が小さくむっつりスケベな勝男はみごとにひっかかった。
「それじゃー毎月Aさんだけに毎日写真をとって一番いいやつをおくりますね」。
それから調子にのってAはなにかと勝男にメールをよこしたさらに。Bも登場だ。「Bさんが退職しますー」元々A,Bは男をひっかけるチームだから。予定どおりだ。勝男はきれいめのAの御機嫌を撮りたくて
「じゃー売店で香水を買ってBさんに渡して。あとでAさんにお金はかえしにいきますから」
勝男さん、どうしちゃったんだい。奥さん以外の女に香水なんかあげちゃってー。もう勝男はAの魔性によって理性のかけらもなくなっていた。あとは崖からおちるように女たちの食事によばれ、そんとき、勝男はとくいになって「新職場案内するからきて」、などと口ばしり、カメラサービスもしながらいよいよ女たちの男妾となっていった。奥さんとしてはただただおぞましく気持ちわるいよ。夫が婆ーさん2人のなぐさみものに喜んでなっていったんだよー。デート中は当たり前だけど、よその奥さんのトイレさえ平気でまっているんだよ。自分の旦那がさ。何回もだよ。気が狂う情景だよ。奥さんの立場としたら地獄血の海だよ。真理子は許せないこととして女二人が自分達初老の夫婦の大事な前途を跡形もなく踏みにじったことをあげている。
勝男の退職後は夫婦はキャンピングカーで日本一周を楽しみに生きていたのだ。人間の幸せとは長年支えあって生きてきた夫婦で最後の余生の時間をなかよくゆったりと共白髪ですごすことだろう。
もちろん夫婦ふたりの信頼関係があってのことです。この年で悪い女にひっかかって浮気まがいを6年ちかくも現在進行形でやられていたら、もう取返しがつかない。信頼はとっくにどこかへ飛んで行って許す時間も残っていない。修羅場の地獄絵が生きながら繰り返されるだけでしょう。
 ふたりのおんなは女郎蜘蛛のような人です。ふたりで二重に蜘蛛の糸をはり「よい出会い」と称し、一見きれいな言葉で男たちを純情そうなふりをして誘惑する。男たちを巧妙に罠にかける。甘い言葉はAの得意技。男がその気なったらしめたものです。バカな男は自分のほうで女をデートに誘っているかのように錯覚して家庭や妻を顧みず、すべて忘れて夢遊病者のように2人の女と楽しい時間を過ごそうとするのです。現実逃避行、まあ、言わば、浮気不倫の類の、クモの巣の中で甘い蜜をすっている状態でしょう。想像したくもない。のめりこんでいるのでいつまでも止められない。際限なく女たちとの甘い世界の中で罠にかかった蝉のように、死ぬまでユラフラと遊び惚けるのです。もちろん美人局役のAが愛人役の立ち位置です。
 これをやられたた男の妻は哀れまちがいなく悶えうって心を殺されます、全員。真理子はいま、死んだも同然の状態でやっと息だけしています。ただゆるせないと。当然おんなたちには抗議しています。釈明、償い、謝罪、念書等。しかし、現在はA、B共に逃げきっている感じです。「上司だった勝男がすべて悪い。パワハラ、ストーカー。故にこちらは絶対謝らない。奥さんに同情はするが自分にできることはない。自分は夫大好きだから誤解されたくない」、と。人の夫に手を出しておいて、人の家庭をボロボロに壊しておいて、真理子をズタズタにしておいてそんなこと知ったこっちゃない、と。平気な顔で「穏やかにくらしてください」、だと…。
勿論性悪女たちにめちゃくちゃにされるまで真理子は言われるまでもなく穏やかに幸せに暮らしていたのです。誰だって穏やかが一番の幸せでしょう。女は自分は今幸せだから人の家庭が壊れるなど関係ない、と。あとはこちらがいくら抗議しても、絶対無視をきめこんでいるのです。「第三者でも弁護士でもどうぞ。うちの夫婦では話題にものってないことなので」と。こんなやつ、人として又同じ人の妻としてぜったい許せません。断固鉄槌を…です。
まとめとして、人は誰だって幸せに穏やかに暮らしたいでしょう、当然ですよね。全世界の方々がそう望んでいます。波乱万丈より、小さなウエーブをですよね。
今は真理子も浮気まがいが発覚から約2年たちすこし落ち着いてきました。流石に夫婦のためとはまだ言わないけれど、「子供たち、孫、そして自分のため、残りの人生を頑張って生き、いい余生にしたい」そうです。私も応援しています。親友の真理子のため、また世界中の頑張って生きている主婦のため、女性たちのため、このお話にでてきた、悪いおんな2が、きちんとした正しい態度を今後とってくれ、この話にけじめがつくよう祈ってこの小説をおわります。
みなさんお元気で、お幸せに…。
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