お願いだから、俺だけのものになって

  「キャー!!奏多く~ん!」


  「尊くん、カッコイイ!!」



ステージに上がった俺たちに
たくさんの女の子たちが
黄色い悲鳴を上げてくれている



尊はメインボーカル&ギター


俺は
ギターを弾きながら、サブで歌う


これが俺たちのスタイルだ



俺たちは
アップテンポの曲を2曲歌い終え
尊がマイクをもって
しゃべり始めた



「次がラストの曲になります」



  「え~~~」



  「やだ!やだ!」



「みんなありがとう

次の曲は奏多よろしくな」



「え・・・と

今日は来てくれてありがとう

 実は俺・・・

 本気で好きな子ができたんだ・・・」



  「キャ~~」



  「奏多君、嫌だよ~~」



「その子に
 どうしても伝えたい気持ちがあって
 この曲に込めました

 最後にその曲を
 歌わせてください」



俺が深々と頭を下げると

ブーブー言っていた女の子たちが
口を閉じ
会場がシーンとなった



「聞いてください

『お願いだから 
 俺だけのものになって』

 です」



そして俺は
美紅がいないとわかっている
会場のステージで

ギターを弾きながら
歌い始めた

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