溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 リビングに向かい、椋と花霞は並んでソファに座った。いつもならば、座りながらも彼の顔を見たりくっついたりしているが、今日は違った。
 お互いに顔を見ようともせず、そして距離も遠かった。


 「花霞の話から聞かせて。」
 「………うん。」


 椋の言葉を聞いて、花霞は頷き、少し考えた後口を開いた。彼に自分の気持ちをわかってもらおうと、一つ一つの言葉をゆっくりと紡いだ。


 「あのね。椋が怪我をしたでしょ。その時にいろいろ考えたんだけど。私、椋と結婚したはずなのに何も知らないんだなって思った。書斎で何をしているのかも、仕事でどんな事をしているのかも………怪我をしなきゃいけない理由何も知らなかった。いつも守って助けてくれていたのは、椋だから。今度は、私が役に立ちたいって思ったの。…………だからね。」
 「………。」
 「…………だから、また、書斎に入った。あなたが何をしているのか知りたかったの。ねぇ、椋。椋は…………。」


 そこまで話した時だった。
 彼は、とても低い声で花霞の言葉を遮ったのだ。


 「ちょうどよかった。」
 「………え。」
 「次、書斎に入ったら、もうダメだって思ってたんだ。俺が絶対に入らないでって話したのを守れないなんて。………幻滅したよ。秘密なんて、それだけだろ?それ以外は、花霞を優先していたし、聞いてきた事は話した。それの何が悪い?」
 「………椋。私は、あなたから話しをして欲しかった。あなたが苦しんでいるのを見て、助けたいって思った。………椋は何をしているの?」
 「…………花霞には関係ないことだ。」
 「…………え…………。」



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