溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を


 

 「本当にそれでよかったの?」
 「うん!これが欲しかったの………嬉しいなぁー。」
 「………そっか。花霞が喜んでるならいいかな。でも、もっと我が儘言ってもいいのに。」

 
 寝る前、ベットで誕生日プレゼントで買って貰ったものを眺めていると、椋はまだ少し不満げな様子だったけれど、花霞が喜んでいるのを見て、渋々納得してくれたようだった。

 花霞が買ってもらったのは、花の図鑑だった。花の写真が詳しく載っており、咲いている時期や場所、そして花言葉などが書かれていた。
 分厚い本でフルカラーだったので、結構な値段だったけれど、椋は「本当にそれだけでいいの?もっと他に欲しいものはない?」と、花霞が我慢しているのではないかと思ったようだった。
 けれど、花霞は花の本が欲しいと思っていたし、この本が1番知りたいことが書いてあったので、見つけた瞬間に欲しいと思えたのだ。

 それに玲の家にお気に入りの花の本を置いてきてしまったと伝えると、椋はハッとした表情を見せて「わかったよ。」と、優しく頭を撫でてくれた。


 玲の家を出ることになった時、玲が花霞の荷物をまとめたため、同棲した家に忘れてきたものが多くあった。けれど、もう1度玲に会うのは怖いので、それらを諦めていたのだ。
 その中でも忘れてきて残念だったのが、花の本だった。
 

 そのため、花霞は椋に買って貰った本の図鑑が嬉しくて仕方がなく、先ほどからパラパラとページを捲っては、花を眺めていたのだ。



 「あ、この花………今、仕事でよく行くところにある花だ。まだ咲いてないけど絵が書いてある。この紫の………。」
 「あ、ラベンダーですね。」
 「へー、ラベンダーって言うんだ。知らなかった。」



 椋は寝る前に必ず筋トレをしていた。
 「警察官は体が勝負だから。」と、毎日欠かさずに行っていた。それが終わったのか、花霞の隣に座って図鑑を覗き込んだ。



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