溺愛旦那様と甘くて危険な新婚生活を



 しばらく、椋の寝顔を堪能した後。
 花霞は、昨日作れなかった夕食の代わりに、朝食を作ろうと思った。材料がないと言っていたので、急いで支度をして近くのコンビニで何か買ってくれば、作れるかもしれない。
 そう思って、彼を起こさないように寝室を出た。
 冷蔵庫の中に何が入っているのか確認するために、リビングを通ってキッチンに行こうとした時に、フッと大きな全面ガラスの窓に目がいった。

 そこには、雨粒がたくさんついており、そして天から沢山の雨が降っていた。
 そろそろ雨も止むのか、遠くの空から太陽の光が洩れていた。雨水で濡れた街が太陽の光を浴びて、水晶が散りばめられたように、キラキラと光輝いていたのだ。


 「わぁ…………綺麗………。」


 花霞は、その美しい景色を間近で見たくなり、窓に近づいた。
 晴れの場所がゆっくりと広がっていき、光りがますます眩しくなる。
 街の中であっても、こんな神秘的な景色が見られるのだと、花霞は感動してしまった。
 しばらくの間、その景色を見入ってしまっていた。


 「………朝食作らなきゃ………。あ、スマホで写真だけ撮ろうかな。」


 花霞が、少し急ぎ足で歩き始めようとした時だった。
 視界がぐらりと歪んだ。


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