【短】Crazy For You

「どうしたの?水美…?」



もう一度、今度は寝転んでる水美の真上から、顔を覗き込みながら聞いてみた。
それでも、本人は全然自覚がないみたいで、オレを見つめたまま首を傾げている。
釣り目がちの大きな瞳は、普段の勝気な面影を全て無くしていて。
凄く…頼りない感じがする。
そして、そこに映っているオレが、ゆらゆらと揺れていた。



「……ねぇ」



見つめたままその瞳に吸い込まれてしまったように微動だにしないオレへと、数回瞬きをした後で水美が声を掛けてきた。
「何?」と瞳だけで問うと、その格好のまま腕が首に伸びてきた。

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