【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
とりあえずパイプ椅子に座って、時間を潰そうと思った時。

目に入ったのは、ナギの半開きの手のひら。


「……お守り」


どくんっと心臓が強く打った。


……なにこれ。藍田さんだよね。

本当にその辺のカップルより仲が良い。


突き返すように手の平を放ったら、ナギが目を開けた。


「……え!?灰野?なんで?いつから?」


「……今来たとこ。大丈夫?」


「うん。大丈夫。えー来てくれるとか意外すぎる」


「なんでだよ」


「だってお前俺のこときらいじゃん」


「別にきらいじゃねーよ。好きでもないけど」


「あははっ、言うね。でもそういうわかりにくい愛情、俺は胡桃と違ってわかるから!」


うっざ。


「それ、お守りって藍田さんでしょ?」


「そうそう。かわいいっしょ。羨ましい?消そうにも消えなくてごめんなぁ?」


にやり、じゃねーよ。
むかつくなぁこいつ。


「なんでそんな好きなのに、告んないの?」


まじでお前のことわかんない。


俺がもしナギと藍田さんみたいな距離で藍田さんと接せられるなら、すぐ告ると思う。


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