【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
「いやいやいやいや……!」


ナギの声で昔話を止めた。


「がっかりとか胡桃言ったかぁ?」

「言ってた。忘れるわけない」

「えー?」

「なんで覚えてねーんだよ」


ごくりと、ナギはコーラを飲んで、首を捻ってから大きく目を開いた。


「おもいだした!!違う違う。あれは、”キスし損なって”がっかりした」


「え?」


「だいたい胡桃が灰野の悪口言うわけねーだろ」


「でも理想とは”全然違う”って……」


「全然ちがったんだって。漫画と現実は」


「だろ?」


結局がっかりさせてんじゃん。


「そうじゃねーよ。現実の方がずっと良かったって意味。当たり前だろ。文脈で読み取れよ」


「……よか、え?まじ?」


騙してない?俺のこと。


「胡桃がどんだけ灰野のこと好きか、見ててわかんないの?」


……わからないことも、ないけど。


ナギの方が……。


って、ナギ。


「なんでお前また、俺と藍田さんのことを応援するようなことしてんの?」


長年の俺たちの誤解を、なんで藍田さんのことを好きなお前が解こうとすんの?



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