【完】俺がどんなにキミを好きか、まだキミは知らない。
自尊心の下限
灰野伊吹 Side*
◇
”藍田さんの裸に緊張して失敗すんなよ”
その山本の言葉は俺の脳裏にはっきりと残っている。
ベッドに横たわる藍田さんを覆いかぶさるようにして見下ろす。
はだけたブラウス。
上気する頬。
甘い声……。
心臓がかつてないほど、バクバクと飛び上がっていて。
柔らかい肌に触れると、
「やぁ……ん」
無防備な姿、声、全部。
頭おかしくなりそう。
……――――失敗、失敗、失敗……失敗。
―――失敗。
俺の頭に最初っからちらつく言葉が一気に頭を埋め尽くしていく。