月夜に花が咲く頃に
どんなに大きな壁がその道にそびえ立とうとも。


その可能性が、0だと言われようとも。


きっとこいつらは、お構いなしに立ち向かっていくんだろう。


バカだけど、単純だけど。


誰よりも真っ直ぐで、眩しくて。


本当の強さが、ここにある気がした。


自嘲気味に笑ってしまう。


彼らと、私とでは生きるべき世界が違うと、つくづく思わされてしまう。


早く、証明しなきゃなあ。


1人でも大丈夫だって、紅雅たちに証明する。


そうすれば、私はここから消えることができる。


だって、私はここにいちゃいけない。


いろんなものをドロドロ心に抱えてる、汚い私は。


こんな眩しいところにいたら、きっといつか壊れてしまう。


『雫!』


あの人の声を思い出して、目を閉じる。


すると、不意に横から身体を引き寄せられた。


「紅雅?どうしたの?」


隣を見ると、紅雅が無言で私を見下ろしてくる。


ん?と首をかしげると、そのまま紅雅に抱きしめられた。


「え、ちょっと、紅雅っ」


「お前のことも、守るから」


耳元で低く響く声に、私は開きかけた口を閉じた。


「だから、俺から離れんな」


声が、少しだけ震えてる・・・・・・?


「紅雅・・・・・・?どうしたの?」


声を掛けても、返事はなくて。


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