月夜に花が咲く頃に
話しちゃいけない。


翼にだけは。絶対。


守りたいの。一番の、親友だから。


だけど、そう思う度に、あなたの顔を曇らせてしまう。一番の、親友なのに。


矛盾する気持ちが、身動きがとれないようにがんじがらめに絡みつく。


胸の奥で、ずしりと重いものが積み上がっていくように感じた。









「あぢいよぉぉおおお」


ギラギラと照りつける太陽の光が窓から差し込んでくる。


八月に入ってから、30度を超える気温の日々が続いて、ニュースでは熱中症対策についてニュースキャスターが話している。


隣に座る光は、上裸でアイスを食べながら14回目の暑いを繰り返した。


「光、暑いって言うな。余計暑くなる」


「だって暑すぎるだろ!ほんと夏ってだりい」


確かに、今年の暑さは異例かも。


私たちが今いる幹部室はエアコンが効いてるから涼しいけど、光はついさっきまで外で暁の人たちと特訓してたからか、その頬や背中には汗か流れてる。


室内でやれば少しは涼しいんじゃ、と言ったら、外の方が思いっきり暴れられるだろ、と返された。


特訓が始まってから、2週間たつ。


特訓をしている奴らは、毎日新しい生傷を作っていた。


相当光がしごいているんだろう。


その証拠に、光も傷こそないが特訓が終わる度にぐったりしている。


暑さのせいもあるんだろうけど。


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