月夜に花が咲く頃に
最近、夜に繁華街へ見回りに行くと、必ず何かしらトラブルが起こるようになった。


突然数人の男達から囲まれたり、バイクにひかれそうになったり。


幸いそれらによる怪我人は出てないけど・・・・・・。


暁の人たちも、そんなにヤワじゃないってことだ。


でも、今以上に酷くなったら・・・・・・。


最悪の展開が頭に思い浮かんで、それを振り払うように頭を思いっきり振る。


「うわ、びびった。急にどうした?」


「あ、ごめん。何でもない」


どうやら頭を振りすぎて一つに結った髪が隣にいた光を攻撃しそうになっていたらしい。


お前の髪は殺傷能力たけえな、と光が怯えたふりをするので、わざと光の顔に髪が当たるように頭を振ってやった。


「いっ、これ地味に痛え!やめろ!」


「参ったかーこれが私の実力だー」


「なんでそんな子供のお遊びに付き合ってますよー的な棒読みなの!?」


光としゃべってると、なんだか緊張感も、毒気も抜かれてくみたい。


どんなに緊迫した状況でも、こいつといるとなぜか力が抜けて笑ってしまう。


俺の大事な顔がー、と涙目で自分の頬をなでる光を見て、くすっと笑ってしまった。


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