月夜に花が咲く頃に
「だから!落ち着けって言ってんでしょ!」



光を突き飛ばして紅雅の胸ぐらを掴んで離さない翼の頭に手刀を落とす。



突然の衝撃に驚いたのか、翼の暴走もやっと止まってくれた。



「付き合ってないから。私と紅雅」



私の言葉に、ぽかん、と口を開ける翼と光。



「え、でもさっき奥山が・・・・・・」


「そうだよ、楓が言ってたじゃねえか」


「なんで楓がそんな突拍子もないこと急に言ったのかは知らないけど。私と紅雅は付き合ってないよ。本人が言ってるんだから、信じてよ」



ため息交じりにそう言うと、二人は力が抜けたようにへなへなと座り込んだ。


紅雅は乱れた服を整えて、何か言いたげに私を見る。



なんか、誤解を解いたのになぜか不機嫌そう・・・・・・?



って、それよりも!



「楓、急に変なこと言わないでよ!今日はエイプリルフールじゃないんだよ?」


「あははっ、ごめんごめん、俺てっきりもう付き合ってるもんだと思ってたからさ」


「紅雅もすぐに否定してよね!いつもこんなことで動じないくせに、なんで今日に限ってぼけっとしてんのさ」


「・・・・・・チッ」



何で舌打ち!?



< 193 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop