月夜に花が咲く頃に
人がごった返す繁華街。


私は今日も、ヨルとしてその街に出ている。


ついさっき正体がばれそうになったけど、気をつければ大丈夫だよね?


奥山も、たまに繁華街に行ってるって言ってたから、今日あいつらがここにいるとも限んないし。


そんな脳天気なことを考えていたら、肩が通りすがりの人とぶつかってしまった。


「あ?なんだ姉ちゃん、前見て歩けよ」


ぶつかった相手はがたいのいい兄ちゃんで。


隣には頬に殴られたような跡がある女の子。


「・・・・・・すみません」


とりあえず謝ると、兄ちゃんは満足したのか隣の女の子の腕を掴んで歩き始めた。


女の子が怯えた目で私を見る。


助けて、と小さく口が動いた気がした。


さて。どうするかな。


あの子が無事なうちに、なんとかしなければ。


男が曲がり角で曲がって姿が見えなくなったのを確認して、急いで後を追いかける。


あ、見つけた。


建物の陰から盗み見れば、人気のない路地裏の隅っこで大きい兄ちゃん達が女の子を囲んでいた。


5、いや、6人かな。


あのくらいなら1人で十分だ。


フードを深く被り直す。


私は静かに男たちのもとへと向かった。







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